黒塗りの文字広告が東京メトロに出現ー思わず足を止めてしまう理由とは?
「シェイク■■■」「■■門■■門」など、つい黒塗り部分を想像してしまう、目を惹く広告が東京メトロ大手町駅で掲示されました。
広告について、Xでは以下のような反響がありました。
リプライでは、さまざまな方が隠された■■部分を予想して楽しんでいます。
今回は、敬遠されがちな広告が人々の目に留まり、Xでも話題になった理由について、心理的な背景をもとに紹介します。
黒塗りした広告の意図とは
この広告は、⼀般財団法⼈⽇本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が“あらゆる世代の方々に今一度考えていただきたい個人情報保護の大切さ”を伝えるために掲示した広告です。
黒塗りで文章を隠した広告を提示することで、一部分だけでも情報が見えると、人によっては全て読み取れてしまうことを示唆しています。
つまり個人情報を隠すことの重要性を実感させる効果があるのです。
文字と伏字の羅列だけで言いたいことが伝えられる斬新な広告の手法といえます。
なぜ人間は黒塗り部分が気になってしまうの?
広告の黒塗り部分を読み解きたくなる理由は、人間の視覚機能や心理に関係しています。
まず、人間には、カリギュラ効果という「禁止されたことほど、やりたくなる」という心理があります。
これが黒塗り部分を読み解きたくなる理由の一つです。
さらに、遮蔽物によって見えない部分を予測する「アモーダル補完」という視覚機能や、事前に与えられた情報をもとに次の情報を予測する「プライミング効果」という心理が人間にはあります。
今回の広告では、カリギュラ効果によって黒塗り部分に惹かれる人間の心理によって、注目を集めました。
そして、最初に書かれている「■■妹子」が「人名である」というプライミング効果を引き起こし、アモーダル補完によって黒塗り部分を予測できたのです。
細かく伝えるだけが広告の役割ではない
今回ご紹介した広告は、情報を伝えるには細かく情報を掲載する以外にも方法があることを示しています。
人間の心理や機能を利用すれば、「伝えたいこと」が正確に伝えられるケースもあるのです。
⼀般財団法⼈⽇本情報経済社会推進協会(JIPDEC)の広告では、黒塗りした文字を使用するだけで“個人情報を「守る大切さ」”が正確に伝わる事例でした。
身近な広告も心理学の視点で観察すると、新たな発見が得られるかもしれません。
気になる方は、分析してみてはいかがでしょうか。