STP分析とは?マーケティングで重要視される理由をサクッと解説

STP分析とは?マーケティングで重要視される理由をサクッと解説

この記事を読めばSTP分析とは何かやマーケティングで重要視される理由、STP分析の進め方がわかります。

STP分析とは

「セグメンテーション(Segmentation)」「ターゲティング(Targeting)」「ポジショニング(Positioning)」という3つの要素からなる、商品やサービスの市場における立ち位置を明確化するための分析方法

この記事のまとめ
① STP分析とは
  • S:セグメンテーション(Segmentation)|市場細分化
  • T:ターゲティング(Targeting)|ターゲット市場の決定
  • P:ポジショニング(Positioning)|市場における立ち位置の明確化

詳細は「STP分析とは」をご覧ください。

② STP分析がマーケティングで
  重要とされる理由
  • 顧客のニーズを理解できる
  • マーケティング戦略を明確化できる
  • 商品やサービスの強みを見つけられる

詳細は「STP分析がマーケティングで重要とされる理由」をご覧ください。

③ STP分析の進め方
  • 手順1:目的を明確にする
  • 手順2:市場を細分化する(セグメンテーション)
  • 手順3:狙うべき市場を決める(ターゲティング)
  • 手順4:自社のポジションを決める(ポジショニング)
  • 手順5:マーケティング戦略を立てる

詳細は「STP分析の進め方」をご覧ください。

目次

STP分析とは | 限られたリソースを効果的に活用する手法

STP分析とは、商品やサービスの市場における立ち位置を明確化する分析方法

STP分析とは、商品やサービスの市場における立ち位置を明確化するための分析方法です。

この名称は「「セグメンテーション(Segmentation)」「ターゲティング(Targeting)」「ポジショニング(Positioning)」という3つの要素の頭文字を組み合わせて名付けられました。

STP分析では市場を細分化し、その中から自社が最も効果的にアプローチすべきセグメント(市場)を選定します。

主なマーケティング手法としては「集中型」「差別型」「無差別型」の3種類があります。

S:セグメンテーション(Segmentation) | 市場細分化

セグメンテーションとは、市場を細分化すること

セグメンテーションでは、市場を顧客やニーズといった共通項で属性ごとに細分化することでペルソナを明確にします。

ジオグラフィック・デモグラフィック・サイコグラフィック・ビヘイビアルという4つの属性が主に用いられます。

これらの属性は単体で使用するだけではなく、複数を組み合わせて使用することもあり、より厳密な細分化が可能です。

自社の商品やサービスに合わせて、どの程度まで市場を細分化するのか検討することが重要です。

T:ターゲティング(Targeting)|ターゲット市場の決定

ターゲティングとは、細分化した市場の中から自社が狙うべき市場を決めること

細分化した市場の中から、自社が狙うべき市場を決めることをターゲティングと呼びます。

自社の強みが活かせるか、市場のニーズ・規模感はどうかなどを考慮し、競合他社よりも優位に立てる市場を選ぶことが一般的です。

ターゲティングで用いられる手法は以下の3つです。

手法内容
集中型
マーケティング
ターゲットとなる市場を絞り込んで行う手法
差別型
マーケティング
複数の市場に対し、それぞれのニーズに合わせた商品やサービスなどを展開する手法
無差別型
マーケティング
細分化した市場を無視して、幅広いターゲットに対し同じ商品やサービスを提供する方法

P:ポジショニング(Positioning)|市場における立ち位置の明確化

ポジショニングとは、ターゲットに設定した市場の中で自社のポジションを明確にすること

ポジショニングとは、ターゲットに設定した市場に対して、自社のポジションを明確にすることです。

ターゲットとする市場において、競合がどのような価格・機能・店舗で商品を展開しているのかを調査します。

競合他社と自社の商品・サービスを比較することで、自社にはどのような優位性があるかを明確にします。

ポジショニングにおいて重要なのは、競合他社との差別化をどのように図るか、そして消費者にどのようなイメージで認識してもらいたいかを決定することです。

これにより、自社の商品やサービスが競合他社と比べてどのような独自の価値を提供できるのかを明確に示すことができます。

ポジショニングを明確にすることは、自社のブランドイメージを確立する上でも重要です。

強力なブランドを構築するための戦略や事例については以下の記事で詳しく解説しています。

STP分析がマーケティングで重要とされる理由

STP分析がマーケティングにおいて重要とされる理由としては、顧客のニーズやマーケティング戦略を明確にできるという点が挙げられます。

市場を細分化して顧客ニーズを明確にすることにより、効果的なマーケティング戦略の策定が可能になります。

また、自社の商品・サービスの強みを見つけられることで競合他社との差別化を図れる点も、効率的なマーケティングを行ううえでSTP分析が重要とされる理由だといわれています。

STP分析のメリット3つ

STP分析を行うメリットは以下の3つが挙げられます。

  1. 市場や顧客のニーズをより深く理解できる
  2. 商品やサービスの強みを明確化できる
  3. 効果的なアプローチができる

上記メリットにより市場や顧客のニーズをより深く理解できるため、顧客層にマッチした商品の分析ができます。

これにより、効果的なマーケティング戦略を立てられるようになります。

商品やサービスの強みを明確化し、理解することで、自社にとって優位性のある市場を選択できるという点もメリットです。

これにより競合他社との不要な競争を避けられるため、効率的なマーケティングが可能になります。

また、自社の位置づけが明確化することで狙ったターゲットに対し、より効果的なアプローチができるという点も挙げられます。

STP分析の注意点3つ

STP分析を行う上で注意すべき点は以下の3つです。

  1. STPの順番にこだわりすぎない
  2. 顧客目線を忘れない
  3. 参入可能な市場か見極める

一般的にはセグメンテーション(S)、ターゲティング(T)、ポジショニング(P)の順番で行われますが、迷った際はひとつ前に戻ったり先に進んだりしても、結果に大きな差は出ないため問題ありません。

S→T→Pの順番にこだわりすぎることで、分析が進まないという事態を避けましょう。

STP分析を行う際、企業の主観が入ってしまうことがあります。

企業視点のみにならないよう、顧客目線(客観的な視点)でターゲットやポジショニングに問題がないか確認することが重要です。

顧客のニーズや価値観を常に意識しながら分析を進めましょう。

分析の結果、参入を検討している市場で優位性が得られない場合や、将来的に縮小していく可能性のある市場であれば、参入を見送るべきです。

市場の成長率や規模、競合状況などを総合的に考慮し、自社にとって参入可能な市場かどうかを慎重に判断することが重要です。

以上の点に注意しながらSTP分析を行うことで、効果的なマーケティング戦略の立案につなげることができるでしょう。

STP分析の進め方

STP分析は、以下の1〜5の手順で進めていきます。

手順の2~4に関しては、順番通りでなくても問題はないため、止まらないよう柔軟に取り組むのがおすすめです。

  1. 目的を明確にする
  2. 市場を細分化する(セグメンテーション)
  3. 狙うべき市場を決める(ターゲティング)
  4. 自社のポジションを決める(ポジショニング)
  5. マーケティング戦略を立てる

手順1:目的を明確にする

STP分析を始める前に、なぜこの分析を行うのかという「目的」と「ゴール」を明確にしておく必要があります。

目的とゴールが曖昧なままでは、分析の過程で迷ったときに立ち返るべき指針が不明確になってしまいます。

また、社内での認識を統一しておくことも、目的達成において重要です。

さらに、STP分析をすること自体が目的化してしまうことを避けるためにも、目的の明確化は不可欠です。

手順2:市場を細分化する(セグメンテーション)

主な4つの属性(ジオグラフィック、デモグラフィック、サイコグラフィック、ビヘイビアル)を活用して、市場を細分化します。

市場の細分化には、4Rの原則(優先順位、有効性、到達可能性、測定可能性)という視点を活用するのも有効的です。

  • 優先順位
    マーケティング戦略に沿って優先順位を決める
  • 有効性
    売上を出すための十分な市場規模があるかを調査する
  • 到達可能性
    ターゲットに対して商品やサービス、メッセージを届けられるかを調べる
  • 測定可能性
    ターゲットの規模や特徴を測定できるか見極める

手順3:狙うべき市場を決める(ターゲティング)

セグメンテーションで細分化した市場の中から、自社が狙うべきターゲットを決定します。

一般的には、競合よりも優位性のある市場を選択します。集中型、差別型、無差別型マーケティングといった手法がよく用いられます。

ターゲティングでは、「ニーズの有無」「成長の見込み」「競合の少なさ」という視点で検討することが重要です。

手順4:自社のポジションを決める(ポジショニング)

ターゲティングで狙うべき市場が決まったら、その市場における自社の立ち位置を決定します。

競合他社の価格、機能、販売チャネルなどを調査し、差別化できるポイントや優位性に注目して、ポジショニングを決めていきます。

消費者にどのように商品・サービスを認識してもらいたいかを明確にすることが、ポジショニングにおいて重要です。

手順5:マーケティング戦略を立てる

市場におけるターゲットやポジションが決定したら、具体的なマーケティング戦略に落とし込んでいきます。

最初に設定した「ゴール」を達成できるよう、商品・サービスの開発やアプローチ方法などの戦略を設定することが重要です。

戦略がぶれないためにも、社内・チーム内で手順4までの認識を統一しておくことも大切だとされています。

STP分析の成功事例

優れたSTP分析により成功を収めた企業は、数多くあります。

ここでは、B to C と B to B の代表的な事例として、ユニクロとミスミのSTP分析について解説します。

ユニクロ|商品のコンセプトを明確化したBtoC事例

日本や海外など幅広く展開しているファッションブランドである「ユニクロ」は、商品のコンセプトを明確化することで成功を収めました。

ユニクロをSTP分析の視点から解説します

  • S
    人口統計的変数ではなく、「トレンドに左右されない、長く使える普遍的な服が良い」というニーズに基づいて市場を細分化
  • T
    「手頃な価格で、カジュアルで普遍的なデザインの服を求める人」をターゲットに設定
  • P
    年齢や性別を問わず好まれるベーシックなデザインで、高品質な服を「安定して継続的に供給できるノウハウと製造ラインを持つ」ことを強みとしてポジショニング

ミスミ|自社のポジショニングを明確化したBtoB事例

テクニカル部品・金型部品ECサイトが有名で、国内外の企業と取引をしている「ミスミ」は、自社のポジショニングを明確化したことで成功を収めています。

ミスミのSTP分析は以下の通りです。

  • S
    「部品調達の手間と時間、コストを削減したい」というニーズに基づいて細分化
  • T
    国内外問わず部品をできるだけ短納期・低価格で獲得したい企業をターゲットに設定
  • P
    カタログやECサイト、AIを活用した図面品の価格・納期計算サービスを提供
    海外に大規模な工場を設置し、発注から納品までの期間とコストの削減を実現することを強みとしてポジショニング

STP分析をして、自社の立ち位置を明確化

STP分析は、限られたリソースを効果的に活用する手法です。

STP分析を活用することで、市場を細分化して顧客ニーズを把握できるようになります。

また、自社の強みや自社に合わせたターゲットも明確化も可能となるのも特徴です。

STP分析をうまく活用して、効果的かつ効率的なマーケティング戦略の策定をしましょう。

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