デモグラフィック分析とは?マーケティング活用例と特徴について解説
この記事を読めば、デモグラフィック分析の用語の意味やマーケティング活用例がわかります。
デモグラフィックとは、年齢・性別・学歴など、人口統計学的な属性のこと
セグメンテーション
- サイコグラフィック
- ジオグラフィック
- ベヘイビオラル
詳細は「デモグラフィック以外のセグメンテーション」をご覧ください。
- データを入手しやすい
- 活用の幅が広い
- 要因分析が難しい
詳細は「デモグラフィック分析の特徴」をご覧ください。
マーケティング活用例
- 地域密着型サービスに活かす
- ペルソナ設定に活かす
- 地域ごとの条件から顧客ニーズを推測する
詳細は「デモグラフィックデーのマーケティング活用例」をご覧ください。
デモグラフィックとは
デモグラフィック(人口動態変数)とは、年齢、性別、職業、学歴、年収、家族構成など、消費者を客観的な属性で分類するための人口統計学的な属性のことです。
STP分析(※1)におけるセグメンテーションの要素の一つであり、企業はデモグラフィックデータを分析することで、自社の商品やサービスの顧客属性を把握できます。
- 年齢
10代、20代、30代、40代、50代、60代、70代以上 - 性別
男、女、その他、回答しない - 職業
学生、会社員、経営者、主婦/主夫 - 所得
300万円未満、300~500万円未満、500~1,000万円未満、1,000万円以上 - 学歴
高卒、専門学校卒、短大卒、大卒、大学院卒 - 家族構成
独身、既婚、子供の有無、子供の年齢
※1:STP分析…「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」の3つのステップからなるフレームワークのこと。新商品やサービスの目標と位置付けを明確にする際に使用される。
デモグラフィック以外のセグメンテーション
セグメンテーションの指標として、デモグラフィックのほかに、
- ジオグラフィック
- サイコグラフィック
- ビヘイビアル(ベヘイビオラル / 行動変数)
の3つがあります。
サイコグラフィック
サイコグラフィック(心理的変数)とは、感性、価値観、ライフスタイル、購買動機など、消費者の心理学的属性のことです。
マーケティング戦略においては、販売促進の方法を変えたり、サービスの価格を見直したりする際に活用されます。
ジオグラフィック
ジオグラフィック(地理的変数)とは、住居、勤務地、人口密度など、消費者の地理的属性のことです。
顧客の動向を推測・分析したり、特定の地域のニーズに対応した商品やサービスを展開したりする際に活用されます。
ビヘイビアル(ベヘイビオラル / 行動変数)
ビヘイビアル(ベヘイビオラル / 行動変数)とは、アクセス履歴、購買履歴、利用頻度など、消費者の行動に基づいた属性のことです。
消費者のニーズや嗜好を把握して、販売チャネルやコミュニケーション戦略を立てる際に活用されます。
デモグラフィック分析の特徴
デモグラフィック分析の特徴の特徴は以下の3つです。
- データを入手しやすい
- 活用の幅が広い
- 要因分析が難しい
1.データを入手しやすい
デモグラフィックデータは、比較的容易に集められます。
年齢や性別といった情報は、アンケートや会員登録時の入力情報から取得できますし、サイコグラフィックのように個人の内面を探る質問は必要ないため、回答の負担も軽減できます。
また、政府や研究機関が提供する豊富な統計情報も利用できます。
2.活用の幅が広い
デモグラフィックは、基本的に変化しない、または変化するタイミングが予測できます。
性別や学歴は基本的に変わりませんし、定期的にデータを収集・分析する体制を構築できれば、婚姻の有無や子供の人数なども更新できます。
そのため、マーケティング戦略の策定や商品・サービス開発の土台となるデータとして幅広く活用できます。
3.要因分析が難しい
デモグラフィックだけでは「なぜそうなったのか」を理解するのは難しいです。
例えば、サービスAのリピート率が高い理由を、デモグラフィックだけでは明らかにできません。
これはデモグラフィックが基本情報を示すだけで、個人の価値観や思考を反映しないからです。
要因分析には、個人の内面を探るサイコグラフィックが必要になるでしょう。
デモグラフィックデータのマーケティング活用例
デモグラフィックは他のセグメンテーションと組み合わせて使うと効果的です。
具体的な活用例は以下の通りです。
- ペルソナ設定
- 広告のデモグラフィックターゲティング
ペルソナ設定
デモグラフィックは、ジオグラフィックと組み合わせることで、個人の基本情報と地理的な条件を組み合わせた詳細な分析が可能になります。
これは、商品開発やメディア戦略の設計において重要なペルソナ設定に役立ちます。
さらに、サイコグラフィックを組み合わせることで、ペルソナが抱えている悩みや不満、願望など深層のニーズも理解できます。
広告のデモグラフィックターゲティング
デモグラフィックデータを活用することで、ターゲットに対してだけ広告を配信できます。
例えば、自社の商品が30代女性に人気があるとわかった場合、その年齢層と性別のユーザーに対して広告を配信することで、効率的なマーケティングを実現できます。
さらに、属性に合わせてLPページのパターンを出し分けることで、CVR改善にも役立てられます。
デモグラフィックデータの収集・分析に役立つツール
デモグラフィックデータの収集・分析に役立つツールは以下の3つです。
- 公的統計調査
- アンケート調査
- アクセス解析ツール
1.公的統計調査
公的統計調査とは、国の行政機関・地方公共団体などが作成している統計のことです。
デモグラフィックデータを収集・分析できるサイトを紹介します。
e-Stat 政府統計の総合窓口
各府省の統計データが一つにまとめられているポータルサイトです。
キーワード検索も可能であり、最新データの分析結果をグラフや時系列表でチェックできます。
総務省統計局
検索できるデータはe-Statと同じですが、新着情報や実施中の調査についての情報を取得できます。
公益財団法人 統計情報研究開発センター
総務省統計局が公表・加工編集をしている統計情報データを、保存・転送・共有に便利な形式で販売しているサイトです。
2.アンケート調査
デモグラフィックデータは、アンケート調査で入手できます。
- インターネット調査
- 郵送調査
- 街頭調査
- 訪問調査
また、自社でWebサイトやSNS、メルマガを運用している場合は、会員登録や問い合わせなどを通じて収集することもできます。
3.アクセス解析ツール
自社で広告やオウンドメディアを運用している場合は、アクセス解析ツールを導入することで、デモグラフィックデータを収集できます。
以下は目的に応じたアクセス解析ツールの例です。
施策 | ツール例 |
---|---|
リスティング広告 | GA4(Google Analytics4)、Yahoo!アクセス解析 など |
SNS広告 | YouTubeアナリティクス、Meta Business Suite など |
企業サイト、サービスサイト | Keywordmap、Similar Web など |
SNSアカウント | Keywordmap for SNS、Tofu Analytics など |
収集したデモグラフィックデータを分析することで、ターゲットの見直しやマーケティング戦略の改善に役立てられます。
デモグラフィック分析の注意点
デモグラフィック分析で注意すべきポイントは以下の3つです。
- 属性の絞り込みの精度
- 母集団の偏り
- 人為的な偏り
現代では、顧客の趣味や嗜好が多様化しているため、デモグラフィック分析だけでは高精度なターゲティングは難しいと言われています。
そのため、他セグメンテーションを組み合わせて、より精度の高いペルソナを設計することが重要です。
また、データ収集方法による母集団の偏りや人為的な偏りを避けるためには、広範囲の属性データを収集し、分析の精度を高めましょう。
デモグラフィック分析だけではなく「組み合わせての利用」が重要
マーケティング施策には、ペルソナ設計やターゲティングの土台となるデモグラフィックデータが欠かせません。
しかし、デモグラフィック分析だけでは、「顧客がなぜそう考えるのか」「どうしてそのように行動するのか」を理解するのは難しいです。
そのため、状況に応じて適切なセグメンテーションを選択し、それをデモグラフィックと組み合わせることが重要です。