広報戦略に基づいた広報誌の力とは?JA新潟かがやきの広報誌が熱い

広報戦略に基づいた広報誌の力とは?JA新潟かがやきの広報誌が熱い

世の中に広報誌と呼ばれるものは、官民問わず数多くあります。

基本的には、販売されるものではなく、無料で配布されたり、Web上で閲覧できたりすることが多いものです。

そのため、注目される機会があまりない存在かもしれません。

しかし、改めて読んでみると、それぞれの組織の目的に沿って制作されていることに気づかされます。

今、注目を集めているJAの広報誌を見てみましょう。

目次

JA新潟かがやきの広報誌は地域の声を細やかに集めている

広報誌『JA新潟かがやき』2023年10月号 / No.19 表紙
出典:JA新潟かがやき公式サイト

2022年に5つのJAが合併して誕生した「JA新潟かがやき」は、JA全中の2023年度広報大賞を受賞しました。

合併に際して、組合員や地域住民との距離が遠くならないようにすることが重要視されました。

そのため、広報活動に力を入れてきたのです。

工夫を凝らした広報と、役員自ら広報活動を実践していることが評価されて受賞に至りました。

広報誌には、組合員や地域住民の声を聞き取り誌面に反映させています。

各地域のJA施設に勤務する50名以上の職員が内部通信員となり、それぞれの地域の農家や農産物について報告してもらっています。

広報誌『JA新潟かがやき』2023年10月号 / No.19 6~7ページ
出典:広報誌「かがやき」Vol.19 2023年10月号

JA新潟かがやきの広報担当者は「合併により、よく知らない地域が同じJA管内になったため、他の地域のことを知ってもらおうとしています」と語ります。

綿密な広報戦略に支えられた発信が行われている

広報誌『JA新潟かがやき』2023年8月号 / No.17 10~11ページ
出典:広報誌「かがやき」Vol.17 2023年8月号

JA新潟かがやきでは、合併後に広報戦略を緻密に組み立てました。

誰に対して何をどのように発信するかという、綿密な広報戦略を立てています。

評価された広報戦略とは、どのようなものなのでしょうか? JAの広報担当者にお聞きしました。

「正組合員・准組合員・地域住民、ターゲットごとに広報戦略を策定しています。例えば、農業者である正組合員に対しては、助成金など営農に役立つ情報を提供しています。一方、農業者以外の准組合員や地域住民に対しては、実際に営農指導を行っているJA職員による家庭菜園記事を掲載したり、旬の農産物やJAの事業を紹介したりして、JAに親近感を持ってもらおうとしています」

内部通信員以外にも、地域の声を集める取り組みはあるのでしょうか?

「広報モニター制度を設けており、寄せられた要望に対して、誌面の文字や写真を大きくしたりしています。また、准組合員モニター制度を設けており、モニターになった方には、米倉庫や選果場などJAの施設見学をしてもらったり、役職員との意見交換会に参加してもらったりしています。今後はいただいた意見を、組合運営に反映させていきます。」

読者や地域の声にも耳を傾けることで、組合員や地域住民や職員の距離を縮めて一体感を作ろうとしているのです。

SNSやコミュニティ誌も活用した多面的な広報活動を展開

広報誌『JA新潟かがやき』2024年6月号 / No.27 4~5ページ
出典:広報誌「かがやき」Vol.27 2024年6月号

広報活動は、広報誌にとどまりません。

YouTube、Instagram、LINEも活用されており、多面的に展開されているのも特徴です。

YouTubeでは、広報誌に取り上げられた農家さんの様子を動画で見ることができます。

「正組合員に対しては、LINEなどを活用して営農情報を発信しています。いずれは双方向発信の形にしていければと考えています」とJA広報担当者は語っています。

広報活動は現在進行形で、進化し続けているのです。

また、広報誌とは別に、年2回一般向けのコミュニティ誌を発行し、新聞に折り込むこともしています。

農家にも農家以外の方にも開かれた、愛され必要とされる組織を目指したJAの広報活動からは、これからも目が離せません。

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